”腸”を調えて温めて…年末年始を快腸で過ごしましょう。

コロナが落ち着き始め、年末年始を機に久々に会おう!という機会が増えそうです。久々に会う大切な方々との食事の時間、嬉しさでついつい食べ過ぎ、飲み過ぎてしまう事があるかも…今回は消化器系の養生についてお話。

漢方、中医学では内臓器官、呼吸や消化などの生命活動を5つのグループに分けて考えています。人体の内臓、働き全てがこの5つのグループのどこかに属します。これを五臓といいます。そのうちの一つの臓『脾』。脾は消化、栄養吸収などに関わる働き、消化器系器官が属する臓です。

飲食物をまず胃が受け取り、ここで吸収しやすい形状に変化させます。次にそれが小腸で気、血、津液の素となる物、不要な物と分けられ、素となるものを運搬担当の臓へと送り届け、不要となるものを大腸へと下ろします。

生きていく上で絶対に必要な気、血、津液の素となる物が全て『脾』という臓で作られています。ここが弱れば気、血、津液は生成されず不足し、私たちの体に不調が起こります。

行き過ぎた食事量、飲酒量は脾に大きな負担をかけるので脾を疲れさせてしまいます。また普段よりも強い疲労を体が背負っていたりするとこれも脾の動きを停滞させてしまいます。冬はこれに加えて冷えも脾の動きを邪魔する要因となります。

脾に元気がない時に起こる不調サインは食欲減退、無気力、むくみ、寝ても取れない疲れ、便が固まっていない、…など。脾の悪い状態が続くと激しいお腹の痛みに繋がることもあります。

脾の疲れを回復させていたわっていく養生食材は何といってもお米と豆類。シンプルですが、お米とお豆を三食きちんと摂っています!と、自信を持って言える方は意外と少ないのではないでしょうか。脾の薬と思ってなるべくお米を毎食摂ってあげることをおすすめします。

また食べ過ぎ、飲み過ぎの朝にはおかゆを召し上がると脾の作業、負担が減り、ゆっくりと脾を休ませてあげる事ができます。冬はお腹を温める生姜や紫蘇、スパイスなどをあわせて摂ると良いでしょう。

草原の人魚…弱った脾を元気にする高麗人参がブレンドされています。

何年かぶりの忘年会、新年会、クリスマスパーティー…感染対策をしっかりと行いながら楽しいひとときをお過ごしください。このコラムの記事をちょこっと頭の隅に残していただき暴飲暴食のストッパーとなれましたら幸いです。

国際中医薬膳師 田中 奈津子

漢方コラムは毎月第一、第三土曜日に更新しています。次回更新は12月11日です。