冬の漢方養生〈後編〉

こんにちは。気温は20℃を切り10℃台になり少しづつ下がってはきていますが、まだ日中はぽかぽかと暖かい日が続きますね。前回お話しした体を冷やす悪い気”寒邪”はまだこちらの様子をうかがっておとなしくしているようです。入り込む隙のないよう前回の養生を是非続けてくださいね。

今回はもう一つの養生”補腎”について。字が表すよう腎を補うこと。『腎』という臓は人間の生命の源と考えられており、主な役割としては生殖成長、呼吸で得た気を受け取る、潤いの巡りを調節するなど。生命活動がここからはじまると言っても過言ではないでしょう。

この”腎”が苦手とし、過ごしづらい季節が冬。腎は寒さが苦手なのです。

寒さ、冷えにより腎の働きは小さく小さく縮こまり、成長、気の補給、血に潤いの巡りも停滞しがちになり、体への栄養循環がうまくできず、元気、やる気が起きずに無気力になることも。

また生殖に深く関わる腎ですから、不調になれば月経不順及び停止、性機能低下なども起こります。月経周期の乱れ=お肌回復周期の乱れとなりますからお肌の調子が悪くなるという二次不調も。

冬の間に腎をしっかりと温めて、心地よく役割をはたせるように養生をしていきましょう。腎に足りないものを補い調子を調えていく食材は…

補腎(腎を補って元気にする)の食材→栗、ぶどう、黒胡麻、うなぎ、えび、くるみ、シナモン、豚肉、羊肉など。

前回お伝えした体を温める食材と合わせてお使いください。当店漢方茶も冬の養生に大いに貢献いたしますのでぜひお試しになってみてください。

腎がちゃんと調子良く保たれているかは”髪”に出ます。艶やかでボリューミーな髪、これは腎がとても充実している証なのです。冬に髪がぱさつく、白髪が増えるなどは腎の不調の表れです。上記の食材をたくさん食べて次の季節”春”に髪も肌も美しく艶やかに開花させましょう。

国際中医薬膳師 田中奈津子

漢方コラムは毎月第一、第三土曜日のPM2:00に更新しております。次回更新は12月4日です。

『喉ムズ、コホン、声枯れ』秋の乾燥で喉が不調に。〜喉に良い漢方とハーブ〜

こんにちは。暑くなく寒くなくそれでいて空気はカラッと…湿度が落ち着き、夏のまとわりつく様な湿気から解放され今はとても過ごしやすい時期ですよね。このまま快適な時期が続けば良いのに…と思っていても季節は巡るんですよね。次の冬に向け乾燥は秋の間にどんどん進んでいきます。

乾燥が度を過ぎてくるとやはり不調が出てきます。秋の乾燥に弱く不調を起こしやすい”臓”は『肺』。『肺』には喉などの呼吸器系が属しています。『肺』のグループは乾燥を天敵としており、ここに不調が起きると咳が出てきます。

東洋医学は出る咳を止めるだけではなく、咳を引き起こす根本的なものは何かを探ります。そこを調整して良い調子に調えていきます。秋に多い咳のタイプは二つ。これに合わせて症状を和らげていく漢方生薬、ハーブ、食物を上手に取り入れましょう。

①激しい咳き込みが頻繁に出る。喉の乾燥、痛み。痰が出にくい。体が熱い。      

⇨体に入ってきた邪気(不調の原因となる悪い気)を発汗させて外に出す”薄荷(はっか)”と”桑葉(そうよう)”を。ハーブならタイムオレガノを。ミートソースにこれらのハーブをぱぱっと振りかけると喉ケアとお料理の風味をアップさせるので一石二鳥です。

②乾いた咳。咳き込みが長い。鼻、唇が乾燥。喉がかゆい。鼻づまり。なんとなく寒気がする。                             

⇨体に侵入して乾燥を引き起こしている邪気を払う”桑葉”、乾燥した肺を潤して咳を鎮める”杏仁”。ハーブならクレソン。果物では今の時期ならが良いでしょう。梨の皮を捨てずに乾燥させて保存し、普段のお茶に一さじ混ぜると良いですよ。

この2タイプの秋の咳の両方に良いものお気づきですか?はい、”桑葉(そうよう)”です。咳を止める特効薬として古くから重宝されてきた生薬です。今回お薦めしたい当店の漢方茶はこの”桑葉(そうよう)”をたっぷり使った

『織姫の恋』

この漢方茶に使われている”桑葉(そうよう)”は当店のブレンダー責任者が日本各地の桑農家さんの中から探し出したものです。風味、香りを損なわないよう唯一無二の製法でじっくり丁寧に蒸し上げて届けてもらっています。

毎日飲むものだから品質に妥協あらず!また、毎日飲むものだから美味しさにも妥協はあらず!こだわりにこだわり抜いた為商品ができるまでにかなりの時間がかかりました。一茶入魂といえば大袈裟でしょうか…当店のこだわりの結晶『織姫の恋』をぜひ一度お試しくださいませ。飲むと喉から胸にすーっと清涼感が広がります。

秋の乾燥を美味しい漢方茶で緩和していきましょう。

国際中医薬膳師 田中奈津子

次回の更新は10/1の午後2時ごろです。

安定した呼吸が元気を作る〜呼吸を調えて夏疲れ解消〜

連日暑い日が続きますが、皆さま元気でお過ごしでしょうか。        最近筆者は疲れやすく、暑さのせいだろうなぁ…と考えていたのですが、寝る前に自分の呼吸がいつもより浅いと気づきました。吸い込んだ空気が体の奥まで入ってこず、心地良く呼吸ができていないのです。これが疲れやすくなっている原因かもしれません。実は呼吸の違和感、夏場の”不調あるある”なのです。          

 気は飲食物から〈脾〉で作られるもの、呼吸で体に入ってきた外の空気から〈肺〉で作られるものと2種類があります。作られた気は全て一度、『肺』に納められます。そして肺から呼吸を使い、体の各所に”気”が供給されます。

肺が不調を起こせば呼吸が不安定になるので気の供給が行き届きません。そのため気が不足した臓が弱り、他の臓へも影響していきます。そして体、心が疲れやすく、元気を失っていきます。

夏場の肺の不調。これには〈心〉という臓が関わってきます。〈心〉の役割は鼓動を打ち、その勢いで血を全身に向かわせること。夏はこの心が激しく動く季節で肺へと負担をかけていきます。

心と肺は五行関係から見ると相克(そうこく)関係。心が上司で肺が部下。心が肺を監督し、肺が緊張感を保ちながらしっかりと働く…といった良い関係性なのです。しかし、夏この関係が崩れがちになるのです。

夏、気温が上昇すると心がとても激しい動きで暴走を始めます。鼓動も早く激しくなっていきます。すると部下である肺があまりの上司の激しさに萎縮してしまい動きが小さく弱くなっていきます。肺が弱くなると呼吸も浅く、不安定となり、結果”気”の供給も不安定となり体がエネルギー不足になっていくのです。

夏場、呼吸に小さな違和感を感じたら肺をケアするだけではなく心の方にも目を向けてケアをしてみてください。心の激しい動き、熱を鎮めながら肺に元気を与えていく養生をしていきましょう。

夏場は小麦を使うパスタやパンを食べると心の激しい動きが落ち着いてきます。実は”小麦(しょうばく)”という生薬でもあるのです!そのほか、旬のつるむらさきアロエあずきも良いです。

弱った肺を元気に強くしていくのは何といっても山芋!そのほか、アスパラきくらげ、旬のお野菜だとモロヘイヤがとても良いです。

『乙姫の宝箱』心を鎮静する西洋人参をブレンド。

当店の漢方茶であれば、心の動きを鎮める『乙姫の宝箱』、肺を強くする『草原の人魚』が夏の呼吸の乱れには良いでしょう。

『草原の人魚』肺を元気にする高麗人参をブレンド

季節と体が深く関わっているという考え方は漢方、中医学独特のものです。不調を感じたらカウンセリング経験豊富な当店スタッフに是非ご相談くださいませ。

国際中医薬膳師 田中奈津子

次回のコラム更新は7/21(土)14:00です。

『春の真ん中の養生』”風”に吹かれて揺らぐ気の巡りに…

こんにちは。暖かくなり過ごしやすい気候になってきましたね。皆さん元気にお過ごしでしょうか。

前回お話しをした春の初めのデトックスを終えたら、次は『春の真ん中の養生』に移っていきましょう。

春一番、花吹雪、花嵐など春をあらわすのに風の動きを用いている言葉が多くありますよね。このことから春といえば風…というイメージが古くから日本に根付いていることがうかがえます。中医学から日本で発展した漢方においても春と風には深い関わりがあると考えられています。

漢方ではそれぞれの季節ごとに体調を乱す”邪気”というものがあると考えられています。免疫、抵抗力などが落ちていると邪気が隙をつき体内に。春の邪気は気の巡りを乱す”風邪(ふうじゃ)”というもの。

※風邪(ふうじゃ)と風邪(かぜ)は別。風邪(かぜ)のことを漢方では感冒(かんぼう)といいます。

この風邪(ふうじゃ)が体に侵入してくると”気”をスムーズに巡らせて情緒を安定させる”肝”という箇所を煽(あお)り、捲(まく)し立て、気の巡りをしっちゃかめっちゃかにしてしまうのです。それにより怒りっぽくなったり、塞ぎ込んだり、ソワソワと落ち着かない、あとは衝動買いなど普段ではあり得ない行動をとってしまう(ドキッ!)…思い当たる節ありますか?

春の真ん中の養生は”疏肝理気(そかんりき)”。肝を落ち着かせ、気の流れを調える事。

肝の動きを落ち着かせる食材を少し多めに食べてみてください。セロリ、トマト、ピーマンなどの野菜、魚介類ではクラゲなどが良いでしょう。これらの食材に気を調えるチャービル、三つ葉、グレープフルーツ、ライチなど香りの良いものを合わせると相乗効果でより良い働きに。また、春にため息が多くなったり、胸のつかえを感じる方は日本の山椒をお料理にちょこっと効かせるのがおすすめです。

白金癒淹でも肝を落ち着かせて春の不調を緩和する漢方茶をご用意しています。

★織姫の恋★肝の不調からくる気の乱れによる目まい、頭痛、目の充血を緩和する生薬”桑葉(そうよう)”をメインにブレンドし、肝をいたわり滋養する生薬、枸杞子も加えています。緑茶のような爽やかな味わいを楽しめます。

漢方の源流である中医学では、体と心を伸びやかにさせてあげる事が春を上手に過ごす一つの養生法として伝えられています。ゆったりと着られるお洋服で過ごしたり、ヘアスタイルをゆるりとほぐしたり、嫌なことはできる限り避けたり…体や心をあまり締め付けずに伸びやかに春を過ごしてみて下さい。

国際中医薬膳師 田中奈津子

次回は『春の終わりの養生』〜脾に元気を補い健やかな春を〜3月20日更新です。

『春の初めの養生』冬眠モードから少しずつ目覚めていく身体に…

立春を過ぎ、少しずつ暖かい日が増えてきましたね。

上手な春の過ごし方。それは春の3か月を【前期/中期/後期】とわけ、気温・外気に合わせて身体を養生していくことです。

春のはじまり。10℃半ばを超える暖かい日もあれば、冬の名残りで2℃、3℃まで気温が下がる寒い日もありますね。春の前期(3月初旬頃まで)は、この気候と同じく、人の身体にもまだ冬の影響が残っているのです。

冬は生物にとって冬眠の季節です。気、血、水を体に溜めておき、あまり発散させないよう代謝も制限モードに。あまり力を使わずに、持っているもので長ーく、細ーくコンパクトな生命活動を行うようになっています。ですから冬になると太るーーー(泣)という方、これは冬に栄養を溜め込もうとする生物の性でございますからご自分をお責めになることなくっ!

冬の間に蓄えた物を春までに使い切ればよいのですが、多くの方が古い物を体に残したまま春を迎えてしまいます。残った古い気、血、水は不要な熱を発してしまい、体に良からぬことを起こします。これらをちゃんと外に出してあげるのが春前期のミッションです。

初春の養生は『清熱解毒』。デトックスです。

食材では”たらの芽”、”ふきのとう”、”タケノコ”などの春の山菜。”黒豆”、”しじみ”、”生姜”もデトックスをサポートするので積極的に摂りましょう。

また、熱はないけど体が熱いな…と感じたら、古い物が多く残っているサインです。内熱をクールダウンしてくれる”あわび”、”はまぐり”、”いか”などの魚介類を食べてみてくださいね。

白金癒淹の漢方茶もお手軽に美味しくデトックスを進めることができるのでおすすめです。デトックスに良い”黒豆”がブレンドされた漢方茶は…

★乙姫の宝箱★デトックスに良い”黒豆”、”はと麦”がブレンドされています。”はと麦”は「よくいにん」という漢方生薬。体に溜め込んだ古い余分な水分とそれに伴う熱を外に出すので春の初めにとても良いです。

中医学ではこの季節、少しだけ早起きをすることを提唱しています。早起きついでに軽い運動を始めて発汗を春モードに切り替えていき、少しずつ代謝を上げていきましょう。

次回は『春の真ん中の養生』についてお話ししたいと思います。

国際中医薬膳師 田中 奈津子