全ては”気”がなきゃ始まらない!①気の種類

こんにちは。立春が過ぎましたがまだまだ外は寒いですよね。春の暖かさを感じるのにはもう少しの辛抱が。。

今回と次回の2回に渡り”気”のお話をしていこうと思います。

漢方といえば”気”。この気が生きていく上で全てのことに必要になってきます。栄養を作る、血を作る、内臓を動かす、血を動かす、内臓を定位置にキープする、発汗を調節する、体を温める、老廃物を出す…ざっと気の働きを並べましたが気の役割はこれだけにとどまりません。目に見えませんが、生きるための最も基本的な物質と考えられています。=エネルギーと考えるとわかりやすいですね。

まずは気の種類を知りましょう。イラスト使って擬人化してみました。

気の種類

元気(げんき)…読んで字の如く生きることの元となる原動力です。これは親から引き継いだものと、食事から得られた栄養で作られた気です。これは五臓の”腎”というところで出番の待機をしています。体の内側を温め、内臓の動きを活発にする気です。

活き活きしているアクティブな元気君

宗気(そうき)…これは発声、気と血の巡り、体の循環リズムや手足の動きなどに関わります。呼吸で吸入した空気と食事から得られた栄養が結びついてできた気です。待機場所は胸のあたり。

乱れは許さないしっかり者、宗気君

営気(えいき)…営養(栄養)を豊富に含み血と共に巡り、身体中に栄養を届けます。食べたものから作られ血液になります。

食べて栄養つけよ♡肌艶男子営気君

衛気(えき)…用心棒のように私たちの体を悪いものから守ってくれる力です。気の中で最も激しく動き回ります。食べたものから作られます。体の内側と外側を温め、毛穴の開閉、汗の調節、体温をキープすることが役割です。

体は俺が守る!衛気君

これらの気がそれぞれの役割を果たすために、体の中を昇ったり、降りたり、出たり、入ったりして私たちの生命活動を司っています。私たちが健康な毎日を過ごすには①から④の気を偏ることなくまんべんなく作り、保持していくことが大切です。

不調別、気を増やす食材

力が出ない、老け、お腹や腰が冷える、月経不順を感じる方は、①元気を増やしましょう。五臓の腎にて貯蔵、待機しているため腎を元気にする”補腎(ほじん)”、気を増やす”補気(ほき)”の食材をとっていきましょう。

ex:くるみ、黒胡麻、えごまの葉、いくら、かつお、すっぽん、粟(あわ)、しめじ、なめこ、さつまいも、うなぎ…

呼吸が浅い、血行が悪い、水分代謝が悪い、動悸、息切れを感じる方は。②宗気を補いましょう。呼吸と食べ物からなるこの気には肺と脾の動きが不可欠です。肺の気を増やす”補気”、脾をしっかりと動かしていく”健脾”の食材を多くとりましょう。

ex:山芋、アスパラ、きくらげ、ぶどう、ココア、納豆、カブ、米類、豆類、かぼちゃ、小松菜、りんご、鯛、うに…

顔の血色が悪い、肌が乾燥する、疲れやすい、めまい、忘れっぽいなどを感じる方は、③営気を増やしましょう。食べたものから作られるので②と同じく”健脾”の食材をたくさん食べましょう。

ex:米類、豆類、カリフラワー、にんにくの茎、ひらたけ、アボガド、ローズマリー、なつめ、栗、いわし、牛肉…

足がつりやすい、ぎっくり腰、冷え、発汗の異常、低体温、風邪をひきやすい方は④の衛気を増やしましょう。こちらも食べたものから作られるので上記の”健脾”の食材を参考にしてみて下さい。

食事と合わせて漢方茶をいただくことで気の生成をより活発にしていきましょう。

①元気を増やすには、雪娘のぬくもり

②宗気を増やすには、織姫の恋+草原の人魚

③営気、衛気を増やすには、草原の人魚

野菜、果実、お肉、お魚…食べ物から気を得るということ=大地から気をいただくということです。

大地の恵みに感謝し、食べる前に一言大地にお断りを入れる『いただきます』という言葉。日本の美学の根幹、感謝、謙遜、気遣いがあらわれた言葉ですよね。大地の恵みの力を借りて”気”を作り、巡らせて健康になり、そのご恩を大地に返せる行動を心がけて日々暮らしていきたいなぁ…と、考えている筆者です。

国際中医薬膳師 田中奈津子

☆漢方コラムは毎月第一土曜、第三土曜の午後に更新しています。次回は2月19日(土)午後更新です。

季節の変わり目はお腹がピンチ!〜消化器系の乱れを調える〜

9月に入り気温がぐっと下がりましたね。雨も来週まで続くそう…中医学では夏と秋の間にある雨が多い時季を”長夏(ちょうか)”と呼びます。ジメジメとしており気温もそんなに高くないので梅雨時期の気候によく似ています。

雨により湿気が増えると乱れやすいのが『脾』。この脾という臓には胃、小腸ほか消化器官が属します。また、脾は冷えにも弱い臓。夏の間に冷たいものを摂りすぎた方は脾が冷えており、消化機能が低下しています。お腹がちくちく痛んだり、下痢が続いたり、体がだるいなどちょっと辛い時季かもしれません。

こういう時期にはスパイスをうまく使って脾を温め、調えていくと良いですよ。紅茶にシナモン、煮込み料理に八角やクローブ、炒め物にクミン、お肉料理やクッキーにナツメグ…など。筆者もこの時期はスパイス料理(辛くない味付けで)をよく作ります。脾が弱っている時は優しい味付けを。唐辛子が効いたような辛い物、お酒などの刺激物は少々控えましょう。

この脾が弱る時期に漢方茶での養生も選択の一つに…脾の元気を取り戻す生薬、高麗人参や黒豆がブレンドされた当店漢方茶『草原の人魚』。朝、こちらをいただくとじんわ〜りとお腹に”温”と”元気”が広がっていきます。

高麗人参が使われる『草原の人魚』の茶材

この先、秋や冬になれば気温はもっと低くなり、体が冷えます。脾の冷えを放置して次の季節を迎えるとより重い不調につながります。今のうちに脾を温め、しっかりと調えて消化力を回復させていきましょう。

国際中医薬膳師 田中奈津子

次回のコラム更新は9月18日(日)です。

”むくみ”を飛ばしてすっきり軽やかな体を…

関東地方は例年より少し遅く梅雨入りをしました。雨の多い季節は体に不要な湿気がたまるので体が重く、むくみが出やすい時期です。この梅雨時期に私たちの体に忍び寄るのが”湿邪”という”むくみ”の原因となる邪気です。脱”むくみ”!の為にまずは”湿邪”という敵を知りましょう。

湿邪の性格は一言で言うと粘着質。チクチク、ネチネチと長ーーく体に居座り不調を長びかせるタイプの邪気なのです。不摂生な食事をされていたり疲労が溜まっている方は、湿邪が入り込みやすくなっているので食生活の見直し、十分な睡眠を心がけていきましょうね。

この湿邪が体に入り込んでしまうと脾が行う【運化】という働きを邪魔します。運化とは体に必要な水分を『肺』や『腎』と連携して体の各所に届け、古い水分を尿として排泄する巡り、サイクルです。湿邪は脾にまとわりつき、動きづらくさせてこの巡り、サイクルを停滞させてしまうのです。その為、古い水分がどんどん体内に溜まり、肌肉にまで浸水して膨れてきます。これが”むくみ”です。水分の巡りの不調に依るものなので”むくみ”を漢方中医学では”水腫(すいしゅ)”と呼びます。

湿邪を寄せ付けない為には部屋の換気をこまめにして湿気が室内にこもらないようにする事や、脾を弱らせないようにお腹を温める事が大事です。では、食事ではどんな注意をしたら良いのかというと…まずは消化の良い物で脾に負担をかけない事。そして甘いものや脂っこいものは”湿邪”を呼び込むので控えめにする事。あとは利尿作用のある食物や脾の元気を補強する食材、気の巡りをよくする物などを下記を参考に食事に取り入れてみてください。

利尿、利水の食材…あずき、玄米、はとむぎ、きゅうり、鯛、黒豆、とうもろこし、白菜など。

脾を元気にする食材…白ごはん、米麹、さつまいも、黒豆、枝豆、小松菜など。

気の巡りをよくする”行気”の食材…しそ、すだち、かじきまぐろ、陳皮、八角、バジル、ピーマンなど。

今回のテーマ”むくみ”に良い働きをしてくれる当店漢方茶は『草原の人魚』と『雪娘のぬくもり』です。

お腹があまり強くない方はこちらの『草原の人魚』を。

脾を元気にする高麗人参、”利水”の働きがある玄米、とうもろこし、黒豆がブレンドされています。

冷えがある方はこちらの『雪娘のぬくもり』を。

体を温める桂枝(シナモン)、”利水”の働きがあるはと麦、とうもろこし、黒豆がブレンドされています。

体がすっきり軽くなると心まで軽やかになります。梅雨の合間にあるお天気の良い日にはお外に出て太陽の暖かさと自然に吹く風にあたり、体に溜まった湿気を乾かしましょう。                   

国際中医薬膳師 田中 奈津子

漢方コラムは毎月第一、第三土曜日更新です。次回は7月3日更新です。

頭も体もスッキリ!コロナ下での『眠活』②不安型不眠

緊急事態宣言が今月20日まで延期と!本当に困難な期間が長くなり、仕事はどうなるのか?緊急事態宣言がまた延期になる?就職活動はどうなるのか?学校はどうなるのか?ワクチン接種はどうなってるのか?など、不安や悩みが尽きません。この様な過度な不安で寝付きが悪かったり、夜中に何度も目覚めたり…と睡眠に影響が出てきている方、多くいらっしゃるかと思います。

過度な不安や心配が引き起こす『不安型不眠』。漢方・中医学ではどのように改善していくのかお話ししたいと思います。

漢方中医学では体の働き(呼吸、消化、生殖、睡眠など)や内臓、器官を【肝・心・脾・肺・腎】5つのグループに分け、それらを”五臓”と呼んでいます。臓がお互いに協力し合い、監督し合い、良い調和を保ちながら体を動かしていると考えられており、この調和が崩れると不調や病を招くとされています。

『不安型不眠』は二つの臓の不調により起こります。まず一つ目の臓は”心”。精神や神経を司る臓ですから睡眠に直接関わる臓です。不眠はこの”心”に血が足りない時に起こると考えられています。もう一つ間接的に関わってくる臓が”脾”。私たちが食べた物から気・血・津液を作る臓です。この”脾”は不安や心配という感情に弱い臓です。不安や心配が過ぎると脾の働きが悪くなり、血の生成が滞ります。血が作られず不足すれば”心”に充分な血は行き渡りません。これら二つの臓の”W不調”を…

心脾両虚(しんぴりょうきょ)

『不安型不眠』はこの心脾両虚により起こります。不眠と併せて忘れっぽかったり、目眩がしたり、食欲が出なかったり…というサインも出てきます。”脾”を元気にして血をたくさん作ってもらい、”心”にその血を補っていくことで不眠は解消されていくでしょう。

心に血を補う食材…牡蠣、すずき、卵黄、いわしなど。※前回ご紹介した”心”の乱れを調える食材と併せて使うとgood!

脾を元気にする食材…うるち米、玄米、枝豆、さやいんげん、なめこ、平茸、舞茸など

”脾”を元気にする生薬【高麗人参】、↑の【玄米】がブレンドされた当店の漢方茶もぜひお試しになってみてください。

漢方中医学では不眠のように同じ不調でも原因となるものが違えば養生方法が異なります。自分の体は自分が一番知っている!のが一番良いのですが、ご自分でのジャッジが難しい時にはぜひ当店までお気軽にご相談ください。

国際中医薬膳師 田中奈津子

漢方コラムは毎月第一、第三土曜日更新です。次回は5月19日更新です。