『春にイライラ&悶々(もんもん)とする理由』②肝と脾の関係悪化で悶々…

こんにちは。暖かくなったり寒くなったりと気温の上昇が激しいですね。まさに三寒四温。気温が安定してくる週明けには桜の開花がが待っていますね。

『春にイライラ&悶々(もんもん)とする理由』①の前回は春のイライラについて書きました。今回は春に“悶々”、“もやもや”という感情が起きやすくなる原因についてお話をしていきますね。この”もやもや”、”悶々”、実は①でお話しした肝の不調を原因とする二次不調なのです。

もやもや、悶々…

まず、薬膳、漢方では生きるために必要な働き、それらを実行する内蔵器官をそれぞれ5つ肝、心、脾、肺、腎に分けて考えています。これを五臓と言います。この五臓はそれぞれが単独で存在しているのではなく、各臓関わり合いながら存在しています。どこかの臓で不調が起きれば関係している他の臓も不調を起こします。

肝臓と脾は上司と部下のような関係性なのです。

頼れる上司、のびのびと働く部下

肝が乱れ始めて暴れ出すと、関係ある“脾”にも不調が起きてきます。暴君上司となった肝が部下である脾を抑圧し、萎縮させてしまうのです。

肝と脾のパワハラ現象

肝は怒、脾は“思”、心は“喜”…と、臓はそれぞれ感情の管理を担当しています。脾が担当するのは“思”という感情。悶々としたり、思い悩んだり、不安になったり…と、少しネガティブな感情を任されています。脾が乱れるとこの感情が強く出てきてしまうのです。

春の養生②は脾を強く元気に保ち、肝の影響を受けぬよう調えていく事です。下記食材を毎食取り入れましょう。

健脾(けんぴ)の食材…さつまいも、じゃがいも、山芋、おくら、にんじん、アーモンドピーナッツ、        イワシ、スズキ、はとむぎ、なつめ、高麗人参 など

高麗人事で脾を強く『草原の人魚』

当店漢方茶では高麗人参がブレンドされた緑のパッケージの『草原の人魚』が脾の健康維持におすすめです。脾は食べたものから栄養の素を作り出す臓。春に限らず年間を通していつでも健やかに保つよう心がけましょう。

国際中医薬膳師 田中奈津子

白金癒淹漢方コラムは毎月第一土曜、第三土曜に更新されます。次回の更新は4月2日です。

春にイライラ&悶々とする理由〜春養生①〜

こんにちは。本日東京はなんと19℃まで気温が上がるそうですね。

今回からは3回に分けて春の養生を書きたいと思います。今日は春の不調で多い情緒や気持ちの揺らぎについて。

春は植物の枝や芽がニョキニョキと伸び始め、冬眠していた動物たちの動きは活発に。これら動植物の動きが活発になるのは大地の陰陽のエネルギーーバランスが転じて起きるものと考えられています。

秋冬は”陰”のエネルギーが充実する季節、春夏は”陽”のエネルギーが強くなり充実する季節。春は陰から陽へとエネルギーバランスが転換する季節なのです。体の中にもこれと同様のことが起こり、陰陽転換についていけない体が調子を崩しやすくなります。

春養生の1つめは”陰”を増やして、”陽”が強くなりすぎぬよう抑えること。これには”陰”を補う”滋陰”の生薬、食材を多く摂るのが良いでしょう。

滋陰の食材…貝類、イカ、山芋、にんじん、枸杞子(クコのみ)など

”気”を全身にくまなく巡らせる役割を担当する”肝”という臓。春は急に陽が強くなることで動きが活発になり、体を動かすのに必要な”気”がたくさん必要となります。これに合わせて肝は一生懸命働きますが、やはり段々と負担が積み重なり疲れ、気の巡りのコントロールが難しくなります。すると”気”が激しく頭に向かって駆け登ったり、停滞したりと気の巡りが乱れてきます。気は感情や心とも関わっているので、気が乱れれば感情や心も乱れていきます。

気の激しい上昇がイライラを生じさせたと思ったら、今度は気の停滞が起こり悶々とした気持ちが生じる…と、情緒が不安定になりやすい春の養生の一つは気の巡りをスムーズにすること。

春養生の2つめは”肝”を落ち着かせる”平肝”、気の巡りを調える”理気”の生薬や食材を積極的に摂りましょう。

平肝の食材…セロリ、トマト、せりなど / 理気の食材…三つ葉、グレープフルーツ、かじき、陳皮など

イライラする時には酸味のあるものを、悶々とする時にはミントやネギ、しょうがなどの香味を摂りましょう。

『乙姫の宝箱』

心を落ち着かせる漢方茶でも手軽に春の養生ができます。また少しだけ早起きをしてみたり、少しだけ歩く時間を長くしたり、軽い運動をすると気の流れが良くなります。私も帰宅時に最近は一つ手前の駅で降り、一駅分歩いています。            国際中医薬膳師 田中奈津子

漢方コラムは第一、第三土曜の午後に更新しています。次回は3月19日の更新です。

全ては”気”がなきゃ始まらない!①気の種類

こんにちは。立春が過ぎましたがまだまだ外は寒いですよね。春の暖かさを感じるのにはもう少しの辛抱が。。

今回と次回の2回に渡り”気”のお話をしていこうと思います。

漢方といえば”気”。この気が生きていく上で全てのことに必要になってきます。栄養を作る、血を作る、内臓を動かす、血を動かす、内臓を定位置にキープする、発汗を調節する、体を温める、老廃物を出す…ざっと気の働きを並べましたが気の役割はこれだけにとどまりません。目に見えませんが、生きるための最も基本的な物質と考えられています。=エネルギーと考えるとわかりやすいですね。

まずは気の種類を知りましょう。イラスト使って擬人化してみました。

気の種類

元気(げんき)…読んで字の如く生きることの元となる原動力です。これは親から引き継いだものと、食事から得られた栄養で作られた気です。これは五臓の”腎”というところで出番の待機をしています。体の内側を温め、内臓の動きを活発にする気です。

活き活きしているアクティブな元気君

宗気(そうき)…これは発声、気と血の巡り、体の循環リズムや手足の動きなどに関わります。呼吸で吸入した空気と食事から得られた栄養が結びついてできた気です。待機場所は胸のあたり。

乱れは許さないしっかり者、宗気君

営気(えいき)…営養(栄養)を豊富に含み血と共に巡り、身体中に栄養を届けます。食べたものから作られ血液になります。

食べて栄養つけよ♡肌艶男子営気君

衛気(えき)…用心棒のように私たちの体を悪いものから守ってくれる力です。気の中で最も激しく動き回ります。食べたものから作られます。体の内側と外側を温め、毛穴の開閉、汗の調節、体温をキープすることが役割です。

体は俺が守る!衛気君

これらの気がそれぞれの役割を果たすために、体の中を昇ったり、降りたり、出たり、入ったりして私たちの生命活動を司っています。私たちが健康な毎日を過ごすには①から④の気を偏ることなくまんべんなく作り、保持していくことが大切です。

不調別、気を増やす食材

力が出ない、老け、お腹や腰が冷える、月経不順を感じる方は、①元気を増やしましょう。五臓の腎にて貯蔵、待機しているため腎を元気にする”補腎(ほじん)”、気を増やす”補気(ほき)”の食材をとっていきましょう。

ex:くるみ、黒胡麻、えごまの葉、いくら、かつお、すっぽん、粟(あわ)、しめじ、なめこ、さつまいも、うなぎ…

呼吸が浅い、血行が悪い、水分代謝が悪い、動悸、息切れを感じる方は。②宗気を補いましょう。呼吸と食べ物からなるこの気には肺と脾の動きが不可欠です。肺の気を増やす”補気”、脾をしっかりと動かしていく”健脾”の食材を多くとりましょう。

ex:山芋、アスパラ、きくらげ、ぶどう、ココア、納豆、カブ、米類、豆類、かぼちゃ、小松菜、りんご、鯛、うに…

顔の血色が悪い、肌が乾燥する、疲れやすい、めまい、忘れっぽいなどを感じる方は、③営気を増やしましょう。食べたものから作られるので②と同じく”健脾”の食材をたくさん食べましょう。

ex:米類、豆類、カリフラワー、にんにくの茎、ひらたけ、アボガド、ローズマリー、なつめ、栗、いわし、牛肉…

足がつりやすい、ぎっくり腰、冷え、発汗の異常、低体温、風邪をひきやすい方は④の衛気を増やしましょう。こちらも食べたものから作られるので上記の”健脾”の食材を参考にしてみて下さい。

食事と合わせて漢方茶をいただくことで気の生成をより活発にしていきましょう。

①元気を増やすには、雪娘のぬくもり

②宗気を増やすには、織姫の恋+草原の人魚

③営気、衛気を増やすには、草原の人魚

野菜、果実、お肉、お魚…食べ物から気を得るということ=大地から気をいただくということです。

大地の恵みに感謝し、食べる前に一言大地にお断りを入れる『いただきます』という言葉。日本の美学の根幹、感謝、謙遜、気遣いがあらわれた言葉ですよね。大地の恵みの力を借りて”気”を作り、巡らせて健康になり、そのご恩を大地に返せる行動を心がけて日々暮らしていきたいなぁ…と、考えている筆者です。

国際中医薬膳師 田中奈津子

☆漢方コラムは毎月第一土曜、第三土曜の午後に更新しています。次回は2月19日(土)午後更新です。

冬の漢方養生〈後編〉

こんにちは。気温は20℃を切り10℃台になり少しづつ下がってはきていますが、まだ日中はぽかぽかと暖かい日が続きますね。前回お話しした体を冷やす悪い気”寒邪”はまだこちらの様子をうかがっておとなしくしているようです。入り込む隙のないよう前回の養生を是非続けてくださいね。

今回はもう一つの養生”補腎”について。字が表すよう腎を補うこと。『腎』という臓は人間の生命の源と考えられており、主な役割としては生殖成長、呼吸で得た気を受け取る、潤いの巡りを調節するなど。生命活動がここからはじまると言っても過言ではないでしょう。

この”腎”が苦手とし、過ごしづらい季節が冬。腎は寒さが苦手なのです。

寒さ、冷えにより腎の働きは小さく小さく縮こまり、成長、気の補給、血に潤いの巡りも停滞しがちになり、体への栄養循環がうまくできず、元気、やる気が起きずに無気力になることも。

また生殖に深く関わる腎ですから、不調になれば月経不順及び停止、性機能低下なども起こります。月経周期の乱れ=お肌回復周期の乱れとなりますからお肌の調子が悪くなるという二次不調も。

冬の間に腎をしっかりと温めて、心地よく役割をはたせるように養生をしていきましょう。腎に足りないものを補い調子を調えていく食材は…

補腎(腎を補って元気にする)の食材→栗、ぶどう、黒胡麻、うなぎ、えび、くるみ、シナモン、豚肉、羊肉など。

前回お伝えした体を温める食材と合わせてお使いください。当店漢方茶も冬の養生に大いに貢献いたしますのでぜひお試しになってみてください。

腎がちゃんと調子良く保たれているかは”髪”に出ます。艶やかでボリューミーな髪、これは腎がとても充実している証なのです。冬に髪がぱさつく、白髪が増えるなどは腎の不調の表れです。上記の食材をたくさん食べて次の季節”春”に髪も肌も美しく艶やかに開花させましょう。

国際中医薬膳師 田中奈津子

漢方コラムは毎月第一、第三土曜日のPM2:00に更新しております。次回更新は12月4日です。

明日は立冬。最後の季節”冬”の漢方養生<前編〉

こんにちは。気温はまだ20℃弱あり穏やかな陽気が続いています。明日は立冬。いよいよ冬に季節が切り替わります。一年で最後の季節”冬”。この季節を漢方の知恵を用いて上手に過ごし、季節を締めくくりましょう。冬を充実させるとそれが春に開花し、体調や心を快適に保つことへとつながっていきます。

冬の養生ひとつ目は”寒邪”をブロックして、とにかく体を温める気を増やすこと。寒邪は人の体を冷やし不調を引き起こす原因となる悪い気。空気中に浮遊しおており、冬になると勢いを増し、人体に入り込む機会を窺っています。

寒邪は体に入り込むと、私たちのを体を温める”気”を抑え込みます。そのため、体はどんどん冷えていき、気、血の通路である経絡がぎゅっと縮こまります。これにより気、血の巡りが停滞します。それにより関節の痛み、腰痛、月経痛などがひどくなったり、クマができやすく血色感のない蒼白い顔になったり…

冬の養生では寒邪に負けないよう気を増やして体を温めましょう。また、寒さで縮こまってしまった経絡をほぐして気、血の巡りをスムーズにしていきましょう。

冬の養生によい食材をご紹介します。

気血の巡りを促す食材…鮭、エビ、にんにく、にら、栗、シナモン、ク気の素の生成を活発にする食材…豆類、芋類、栗、りんごなど

上記の食材をお食事に加えてみてください。スープやお粥、シチューなど温かく食べられる調理法をおすすめします。

冬は『収蔵』の季節。中医学、漢方では動物たちが冬眠をするように激しく動かずに静かにじっと待つのが良しとされている季節で、この時期はあまりに激しい運動は控え、感情を大きく揺らさないよう安静に努めることが勧められています。

上記の食材であるシナモン、黒豆がブレンドされた当店の美味しい漢方茶を飲みながらおうちタイムをゆっくりとお過ごしになるのはいかがでしょうか。

次回はもう一つの冬の養生をお伝えします。

国際中医薬膳師 田中奈津子

白金癒淹の漢方コラムは毎月第一土曜、第三土曜に更新しています。次回の更新は11月20日です。