季節の変わり目はお腹がピンチ!〜消化器系の乱れを調える〜

9月に入り気温がぐっと下がりましたね。雨も来週まで続くそう…中医学では夏と秋の間にある雨が多い時季を”長夏(ちょうか)”と呼びます。ジメジメとしており気温もそんなに高くないので梅雨時期の気候によく似ています。

雨により湿気が増えると乱れやすいのが『脾』。この脾という臓には胃、小腸ほか消化器官が属します。また、脾は冷えにも弱い臓。夏の間に冷たいものを摂りすぎた方は脾が冷えており、消化機能が低下しています。お腹がちくちく痛んだり、下痢が続いたり、体がだるいなどちょっと辛い時季かもしれません。

こういう時期にはスパイスをうまく使って脾を温め、調えていくと良いですよ。紅茶にシナモン、煮込み料理に八角やクローブ、炒め物にクミン、お肉料理やクッキーにナツメグ…など。筆者もこの時期はスパイス料理(辛くない味付けで)をよく作ります。脾が弱っている時は優しい味付けを。唐辛子が効いたような辛い物、お酒などの刺激物は少々控えましょう。

この脾が弱る時期に漢方茶での養生も選択の一つに…脾の元気を取り戻す生薬、高麗人参や黒豆がブレンドされた当店漢方茶『草原の人魚』。朝、こちらをいただくとじんわ〜りとお腹に”温”と”元気”が広がっていきます。

高麗人参が使われる『草原の人魚』の茶材

この先、秋や冬になれば気温はもっと低くなり、体が冷えます。脾の冷えを放置して次の季節を迎えるとより重い不調につながります。今のうちに脾を温め、しっかりと調えて消化力を回復させていきましょう。

国際中医薬膳師 田中奈津子

次回のコラム更新は9月18日(日)です。

『春の仕上げの養生』”脾”に元気を補い健やかな春を…

こんにちは。開花宣言が出され、桜の満開が待ち遠しい毎日です。

今回は『春の仕上げの養生』についてお話ししたいと思います。春が終わる前にしっかりと調えていきたいのが”脾(ひ)”。

脾は食べたものから”気”(エネルギー)や血(けつ)、水(すい)を作り、不要なものを排泄へと促す臓です。体の真ん中に位置することから”中焦(ちゅうしょう)”とも呼ばれています。

前回、春特有の悪い気”風邪(ふうじゃ)”が〈肝〉の動きを激しく乱してしまう…というお話をしました。肝と脾は相克(そうこく)関係という、上司と部下の様な関係であると漢方では考えられています。肝は時に優しく、時に厳しく…脾を監督しているようなイメージです。しかし春になり肝が乱れてしまうと脾への監視が激しくなり、脾は萎縮して動きが小さくなってしまうのです。肝が乱れると二次被害的に脾にも悪い影響が…

脾の動きが小さく、弱くなると気や血を作るペースが落ちてしまいます。気が不足すれば体がだるく、重くなり、お通じも力なくゆるく…また、血や水が不足すれば目まい、乾燥、月経にも影響を及ぼしますので漢方、薬膳で食生活に工夫をし、春のうちにしっかりと脾を調えていきましょう。

脾にエネルギーを補い栄養づくり、消化活動を活発にしていく【健脾】の食物はなんといっても”お米”です!黒米、米麹、玄米も同じく脾に力を与えます。少し冷えのある方はご飯に餅米を少しブレンドして炊くと良いでしょう。

あとは芋類に豆類も◎。じゃがいもや大豆は脾の中でも特に大腸に元気を与えるのでこの時期に便通が弱くスッキリしない方、お腹がゆるい方にとても良い食物です。

【健脾】の食物にはオレガノ、陳皮、八角、ナツメグなど【理気】の働きのあるハーブやスパイスを合わせると脾に集まった元気、エネルギーを効率よく巡らせて脾の活動を安定させます。

脾にエネルギーを運び、この時期の弱った胃腸を優しくリペアする当店の漢方茶『草原の人魚』はお湯を注ぐだけで手軽に『春の仕上げの養生』ができますよ。

脾の疲労による食欲不振、体の倦怠感やだるさに抜群の働きをする高麗人参をメインに、先に紹介した脾に気を補う玄米や黒豆がブレンドされています。玄米の香ばしさに心がとてもほっとするお茶です。

冬の間に溜まった不要なものを脱ぎ捨て、風でゆらされた気の巡りを調え、気、血、水を作る臓をしっかりと調える…全③回に渡ってお伝えした漢方養生を食事やお茶でゆったりと調えて春を健やかに満喫してくださいませ。

次回更新は4月3日(土)『理想肌に東洋医学でアプローチ!』あなたに必要なのは潤い?ハリ?