全ては”気”がなきゃ始まらない!②4種類の”気”の働き

筆者は最近は家に詰め、黙々と仕事を進めておりました。昨日あたりからなんだか呼吸が浅く、息はしているけど深部まで届いていないような心地よくない状態でした…あーこれは体が”宗気君”を欲しているな…と。外に出てフレッシュな空気を思いっきり吸い込もう!と、先ほどォーキングをして参りました。さて、宗気君とは…

前回は”気”をキャラクター化して4種類ある”気”の分類をお伝えしました。今回は気にどんな働きがあるのか、4種類ある気はそれぞれどの働きを担っているのかを詳しく見ていきましょう。

気の働き(作用)は全部で5つあります。

1.推動作用(すいどうさよう)…内臓を動かし、血をめぐらせる。潤いを運び、古い水分を排泄する。※血や潤いは自ら動けないので気に運んでもらいます。

2.温煦作用(おんくさよう)…体を温めて体温をキープする。※冷え症の方は”気”が足りない方が多い。

3.防衛作用(ぼうえいさよう)…体の外側にバリアを張り、病原となる悪い物の侵入を防ぐ。=抵抗力

4.固摂作用(こせつさよう)…内臓を定位置にキープ。また汗や尿などの排出物が出過ぎないように調節する。

5.気化作用(きかさよう)…飲食物を内臓の働きに適した形状に変化させる。例)飲食物を”精”という栄養源に変え、その後、気、血や潤いへと変化させる。老廃物を尿や便にかえて排出しやすくする。=代謝機能

6.営養作用(えいようさよう)…全身に栄養を行き渡らせる。

4種類ある気=四気(しき)は上記の5つの働きのどれかを持ち、その働きを果たす事で私たちの生命活動を維持してくれています。では四気の持つ働きを見てみましょう。

元気君は上記の5つの働きの全てをこなすパーフェクトボーイ。彼は生命活動の起点、原動力です。病気、出産の大仕事をやり遂げた時には頑張りすぎてしまうのでエネルギーがダウン。体が弱っているなダメージを受けているな…と感じた時には元気君が保管される『腎』に良い海老やうなぎに豚肉、栗、黒豆などを食べて回復を。

宗気君は推動作用を持っていて、呼吸と心拍や経絡(気、血の通り道)に流れる気、血の巡りを指揮しています。彼がお疲れの時は呼吸が浅くなったり、血行が悪くなります。そんな時には深呼吸で外の気を取り入れたり、宗気君が作られる『脾・肺』に良い山芋、アスパラ、ぶどうを多く摂りましょう。

営気君は気化作用、営養作用を持ちます。自分(営気)と津液(潤い)を組み合わせて”血”に変化させます。また体に栄養を行き渡らせて疲労回復に一役。寝ても疲れが取れない時、お肌が乱れる時には営気君が足りていない時かも。営気君が作られる『脾』に良いイワシ、うに、豆類、芋類などを積極的に食べましょう。

衛気(えき)君は防衛作用、営養作用、固摂作用、温煦作用と4つの作用をフルに使い体を守ります。防衛作用で外敵を跳ね返し、営養作用で肌の表面に潤いバリアを、体に入ってきてしまった外敵を発汗で追い出す。そして、体温を維持して内臓の免疫を上げていきます。衛気君は『脾・肺・腎』で作られます。先の3人で挙げた食物をバランス良く摂り、いつでも臨戦体制を。

どうでしょうか、前回と今回のお話で気というものが少しご理解いただけたでしょうか。目には見えない気ですが、これがなきゃ命は始まらないのです。病は気からの気はまさに”気”のこと。健康も美もレジャーや趣味を楽しむこともすべてこの気がなきゃ始まらないのです。

歳を重ねるにつれやはり気は作りづらく、保持しづらくなってきます。食べ物や暮らし方に少し気をつけながらいつまでも”気”が満ち溢れ、イキイキとしたおばあちゃんになれたらな…と筆者は考えております。

国際中医薬膳師 田中奈津子

白金癒淹漢方コラムは毎月第一、第三土曜日の午後に更新しています。次回は3/5(土)更新です。