連日暑い日が続きますが、皆さま元気でお過ごしでしょうか。 最近筆者は疲れやすく、暑さのせいだろうなぁ…と考えていたのですが、寝る前に自分の呼吸がいつもより浅いと気づきました。吸い込んだ空気が体の奥まで入ってこず、心地良く呼吸ができていないのです。これが疲れやすくなっている原因かもしれません。実は呼吸の違和感、夏場の”不調あるある”なのです。
気は飲食物から〈脾〉で作られるもの、呼吸で体に入ってきた外の空気から〈肺〉で作られるものと2種類があります。作られた気は全て一度、『肺』に納められます。そして肺から呼吸を使い、体の各所に”気”が供給されます。
肺が不調を起こせば呼吸が不安定になるので気の供給が行き届きません。そのため気が不足した臓が弱り、他の臓へも影響していきます。そして体、心が疲れやすく、元気を失っていきます。
夏場の肺の不調。これには〈心〉という臓が関わってきます。〈心〉の役割は鼓動を打ち、その勢いで血を全身に向かわせること。夏はこの心が激しく動く季節で肺へと負担をかけていきます。
心と肺は五行関係から見ると相克(そうこく)関係。心が上司で肺が部下。心が肺を監督し、肺が緊張感を保ちながらしっかりと働く…といった良い関係性なのです。しかし、夏この関係が崩れがちになるのです。
夏、気温が上昇すると心がとても激しい動きで暴走を始めます。鼓動も早く激しくなっていきます。すると部下である肺があまりの上司の激しさに萎縮してしまい動きが小さく弱くなっていきます。肺が弱くなると呼吸も浅く、不安定となり、結果”気”の供給も不安定となり体がエネルギー不足になっていくのです。
夏場、呼吸に小さな違和感を感じたら肺をケアするだけではなく心の方にも目を向けてケアをしてみてください。心の激しい動き、熱を鎮めながら肺に元気を与えていく養生をしていきましょう。
夏場は小麦を使うパスタやパンを食べると心の激しい動きが落ち着いてきます。実は”小麦(しょうばく)”という生薬でもあるのです!そのほか、旬のつるむらさきやアロエ、あずきも良いです。
弱った肺を元気に強くしていくのは何といっても山芋!そのほか、アスパラやきくらげ、旬のお野菜だとモロヘイヤがとても良いです。
当店の漢方茶であれば、心の動きを鎮める『乙姫の宝箱』、肺を強くする『草原の人魚』が夏の呼吸の乱れには良いでしょう。
季節と体が深く関わっているという考え方は漢方、中医学独特のものです。不調を感じたらカウンセリング経験豊富な当店スタッフに是非ご相談くださいませ。
国際中医薬膳師 田中奈津子
次回のコラム更新は7/21(土)14:00です。