夏バテ回復には”陰”の補充を〜夏の虚労の養生〜

この時期、寝足りない、疲労感、食欲不振、元気、やる気が出ない…など、そろそろ夏の疲れ、夏バテが出てくる頃ではないでしょうか。

夏は””がもっとも強くなり、発汗が激しく、気血の巡り、神(精神、神経)が激しく乱れて疲労します。また発汗により陰がすごいスピードで消耗していくので陰陽バランスが崩れ、体を滋養できずに疲労が溜まり、漢方でいう『虚労』という症状があらわれます。夏の『虚労』=夏バテ

疲れているならスタミナ料理を!…確かに。しかしスタミナ料理だけでは根本の解決にななりません。夏バテ回復にまず必要な養生は…

”陰(血、津液)”を増やすこと『補陰』

陰が増えれば陽を抑えられ、体の熱を鎮め良質な睡眠を十分に取ることができます。しっかりと睡眠で休息を取れるようになれば疲労は回復し、体と心は滋養され元気になっていきます。

補陰をリードする食材でおすすめなのは【黒豆】【黒胡麻】【枸杞の実】です。黒豆の煮物はお砂糖も合わさっているのでさらに補陰効果が高まります。黒胡麻のおすすめの食べ方は〈黒胡麻ハニートーストバナナ〉バナナは熱をとる『清熱』の食材ですから合わせて取ると体が涼やかに…

養生をはじめてすぐに”陰”が増えるわけではないので、その間は体の熱を冷やす豆腐、アスパラ、ごぼう、ズッキーニなど『清熱』の生薬、食材を適宜とっていきましょう。ただ、長期間『清熱』生薬、食材をとると冷えが残り秋や冬にひびきます。”陰”が増え、夏バテが少し回復したなと感じたら『清熱』生薬、食材は控えましょう。

黒豆がブレンドされた当店の漢方茶、水分補給の際に夏バテの養生も併せてできますよ。漢方茶選びのお手伝いをさせてください。カウンセリング経験豊富なスタッフが常駐しておりますので体調に不安、お悩みがある方いつでもご相談くださいませ。

夏バテで食欲なんてないのにスタミナ料理なんて無理ーっ!…という夏バテ真っ只中に居られる方はまず”陰”をたくさん補給していくことから養生をはじめましょう。

国際中医薬膳師 田中奈津子

次回の漢方コラム更新は9月4日(土)14:00です。

安定した呼吸が元気を作る〜呼吸を調えて夏疲れ解消〜

連日暑い日が続きますが、皆さま元気でお過ごしでしょうか。        最近筆者は疲れやすく、暑さのせいだろうなぁ…と考えていたのですが、寝る前に自分の呼吸がいつもより浅いと気づきました。吸い込んだ空気が体の奥まで入ってこず、心地良く呼吸ができていないのです。これが疲れやすくなっている原因かもしれません。実は呼吸の違和感、夏場の”不調あるある”なのです。          

 気は飲食物から〈脾〉で作られるもの、呼吸で体に入ってきた外の空気から〈肺〉で作られるものと2種類があります。作られた気は全て一度、『肺』に納められます。そして肺から呼吸を使い、体の各所に”気”が供給されます。

肺が不調を起こせば呼吸が不安定になるので気の供給が行き届きません。そのため気が不足した臓が弱り、他の臓へも影響していきます。そして体、心が疲れやすく、元気を失っていきます。

夏場の肺の不調。これには〈心〉という臓が関わってきます。〈心〉の役割は鼓動を打ち、その勢いで血を全身に向かわせること。夏はこの心が激しく動く季節で肺へと負担をかけていきます。

心と肺は五行関係から見ると相克(そうこく)関係。心が上司で肺が部下。心が肺を監督し、肺が緊張感を保ちながらしっかりと働く…といった良い関係性なのです。しかし、夏この関係が崩れがちになるのです。

夏、気温が上昇すると心がとても激しい動きで暴走を始めます。鼓動も早く激しくなっていきます。すると部下である肺があまりの上司の激しさに萎縮してしまい動きが小さく弱くなっていきます。肺が弱くなると呼吸も浅く、不安定となり、結果”気”の供給も不安定となり体がエネルギー不足になっていくのです。

夏場、呼吸に小さな違和感を感じたら肺をケアするだけではなく心の方にも目を向けてケアをしてみてください。心の激しい動き、熱を鎮めながら肺に元気を与えていく養生をしていきましょう。

夏場は小麦を使うパスタやパンを食べると心の激しい動きが落ち着いてきます。実は”小麦(しょうばく)”という生薬でもあるのです!そのほか、旬のつるむらさきアロエあずきも良いです。

弱った肺を元気に強くしていくのは何といっても山芋!そのほか、アスパラきくらげ、旬のお野菜だとモロヘイヤがとても良いです。

『乙姫の宝箱』心を鎮静する西洋人参をブレンド。

当店の漢方茶であれば、心の動きを鎮める『乙姫の宝箱』、肺を強くする『草原の人魚』が夏の呼吸の乱れには良いでしょう。

『草原の人魚』肺を元気にする高麗人参をブレンド

季節と体が深く関わっているという考え方は漢方、中医学独特のものです。不調を感じたらカウンセリング経験豊富な当店スタッフに是非ご相談くださいませ。

国際中医薬膳師 田中奈津子

次回のコラム更新は7/21(土)14:00です。

頭も体もスッキリ!コロナ下の『眠活』①イライラ型不眠

コロナ対策により仕事や諸々がなかなかスムーズに進まない。気晴らしに食事に行ったりお酒を楽しみに行きたいけれどここは堪えどき(苦!)「はぁ…このストレスをいったいどこで晴らせば良いのだーーー!」と、鬱憤(うっぷん)が溜まり、少々イライラされている方多くいらっしゃるのではないでしょうか。筆者も少々この様な傾向が。。このイライラ、睡眠の質にも影響してくることが…。

ストレス、イライラが原因の不眠。漢方、中医学では五臓の『肝』と『心』の関係性、調和が乱れている時に起こると考えられています。

【肝・心・脾・肺・腎】と漢方、中医学では内臓と機能を五つに分類しています。これらを五臓といいます。臓と臓がお互いに手助けをし、監督し合いながら良い関係性を保ち、調和して私たちの健康が作られていると考えられています。この関係性、調和が乱れた時に不調が起きやすいのです。

肝と心は”母”と”子”の関係と考えられています。関係が良好な時には『肝』が母となり『心』を見守り、優しく励まします。これにより『心』は安心して自分の役割を務めることができます。

また逆も然り、母が乱れれば、子にも悪い影響を及ぼします。これを…

【母病及子】

母である『肝』がストレスの影響で異常な熱を持ち始め、働きが乱れると、子である『心』にも影響が及びます。母がイライラしてるものだから、子も落ち着かない。情緒や心拍を安定させながら睡眠を作る『心』が夜になっても休むことができません。興奮状態が続いてしまい、なかなか寝付けなかったり、何度も目が覚めたりと睡眠に影響があらわれてくるのです。

睡眠の不調が起きたら、まず第一に補強していくのは『心』。イライラタイプ不眠には同時に『肝』の熱を鎮めていくことが大切です。

心の乱れを調える食材…小麦、ココナッツ、ココア

心の熱を鎮める食材…牡蠣、卵黄

肝の熱を鎮める食材…あわび、いか、貝柱、黒豆、あしたば※、アロエ※、かに※

※印のものは少し強い働きがあるので食べすぎ注意です。

白金癒淹でもイライラ型不眠を解消させる漢方茶をご用意しております。

【乙姫の宝箱】

『心』を調える代表的な生薬”西洋人参”がブレンドされています。この生薬はとても希少な生薬です。当店ではその中でもさらに良質なものを厳選しております。

質の良い睡眠は健康な体とキレイなお肌をつくります。日々の飲食に漢方の知恵を。コロナに振り回されずゆったりと良質な睡眠をとれるよう調えていきましょう。

国際中医薬膳師 田中奈津子

白金癒淹漢方コラムは毎月第一、第三土曜日14時更新です。次回は6月5日。

『理想肌に漢方でアプローチ!あなたの肌に本当に必要なのは?』③潤い

こんにちは。全③回に渡りお伝えしてきた”理想肌に漢方でアプローチ!”今回が最終回となります。洗顔の後、秒速で化粧水など何かしらをつけないとすぐにカラッカラになるわっ!という方、体の内側からもケアを始めていきましょう。最後の回は【潤い】について…

化粧水をつけている人のイラスト | かわいいフリー素材集 いらすとや

漢方では血以外の体内水分を”水(すい)”と言います。この水が肌を瑞々しく保つ潤いの元となります。そしてこの潤いの元を全身に運んでいるのが※『肺』という臓グループ。そう、お肌を【潤い】で満たす鍵はこの肺にあるのです。

※『肺』=内臓の肺を中心に呼吸器系、大腸などが属する臓のグループ。この臓の働きは主に呼吸と水分運搬である。

この肺が最も苦手とし、機能を低下させるもの、それは乾燥です。漢方では外の空気による乾燥に加えてもう一つ、老化による乾燥があると考えられています。老化により潤いを作る機能が低下し、自ら体内を乾燥させてしまうという【内燥】というもの。肺の機能が弱まり低下すれば水の運搬は滞り、潤いが届けられなくなります。

のどが渇いた人のイラスト(男性) | かわいいフリー素材集 いらすとや

肺の機能低下=肌の乾燥

特に皮膚(肌)は体の一番外側にあり、ただでさえ潤いが届きづらい箇所です。肺を若々しく元気に保ち、肌まで潤いがしっかりたっぷり巡ってくるように暮らしの中で養生をしていきましょう。肺の動きを支え、潤い肌に導く食材をご紹介します。日々の食卓に加えてみてください。

補気(肺を若々しく元気に保つ)食材…☆アスパラ、きくらげ、モロヘイヤ、ぶどう

生津(水の不足を補い乾燥を和らげる)食材…豆乳、☆アスパラ、白きくらげ、ズッキーニ、梨、ぶどう、レモン、チーズ、ヨーグルト

滋陰(肌や体内の乾燥を和らげる)食材…やまいも、☆アスパラ、エリンギ、白きくらげ、にんじん、鶏卵、ヨーグルト

アスパラガスのイラスト(野菜) | かわいいフリー素材集 いらすとや

アスパラは補気、生津、滋陰の3つの働きを兼ねる食材。潤い肌には欠かせないので筆者も毎日積極的に摂っています。

肌の潤いが不安定な時は肺が不安定な時。こういう時は上記の食材を摂りながら、肺が落ち着くように静かに過ごすことを漢方では推奨しています。お部屋で映画を観たり、音楽を聴いたりしてゆったりと穏やかに。あと、肺という臓は悲しみ、憂いという感情に傷つきやすい臓なので、映画を観るなら悲恋ものよりもハッピーなラブコメなんかが良いのではないかと筆者は思います。

国際中医薬膳師 田中奈津子

泣きながらテレビを見る人のイラスト(女性) | かわいいフリー素材集 いらすとや

白金癒淹漢方コラムは毎月第一、第三土曜日14時更新です。次回は5月15日。

今日のおすすめの『白金癒淹・漢方茶』

【織姫の恋】

肺を乾燥から守る桑葉(そうよう)をメインとして、上記食材にもある肺の潤いを守る白きくらげがブレンドされています。爽快感ある飲み心地で少し暑くなってくるこれからの季節にさっぱりと美味しくいただける漢方茶です。

『春の初めの養生』冬眠モードから少しずつ目覚めていく身体に…

立春を過ぎ、少しずつ暖かい日が増えてきましたね。

上手な春の過ごし方。それは春の3か月を【前期/中期/後期】とわけ、気温・外気に合わせて身体を養生していくことです。

春のはじまり。10℃半ばを超える暖かい日もあれば、冬の名残りで2℃、3℃まで気温が下がる寒い日もありますね。春の前期(3月初旬頃まで)は、この気候と同じく、人の身体にもまだ冬の影響が残っているのです。

冬は生物にとって冬眠の季節です。気、血、水を体に溜めておき、あまり発散させないよう代謝も制限モードに。あまり力を使わずに、持っているもので長ーく、細ーくコンパクトな生命活動を行うようになっています。ですから冬になると太るーーー(泣)という方、これは冬に栄養を溜め込もうとする生物の性でございますからご自分をお責めになることなくっ!

冬の間に蓄えた物を春までに使い切ればよいのですが、多くの方が古い物を体に残したまま春を迎えてしまいます。残った古い気、血、水は不要な熱を発してしまい、体に良からぬことを起こします。これらをちゃんと外に出してあげるのが春前期のミッションです。

初春の養生は『清熱解毒』。デトックスです。

食材では”たらの芽”、”ふきのとう”、”タケノコ”などの春の山菜。”黒豆”、”しじみ”、”生姜”もデトックスをサポートするので積極的に摂りましょう。

また、熱はないけど体が熱いな…と感じたら、古い物が多く残っているサインです。内熱をクールダウンしてくれる”あわび”、”はまぐり”、”いか”などの魚介類を食べてみてくださいね。

白金癒淹の漢方茶もお手軽に美味しくデトックスを進めることができるのでおすすめです。デトックスに良い”黒豆”がブレンドされた漢方茶は…

★乙姫の宝箱★デトックスに良い”黒豆”、”はと麦”がブレンドされています。”はと麦”は「よくいにん」という漢方生薬。体に溜め込んだ古い余分な水分とそれに伴う熱を外に出すので春の初めにとても良いです。

中医学ではこの季節、少しだけ早起きをすることを提唱しています。早起きついでに軽い運動を始めて発汗を春モードに切り替えていき、少しずつ代謝を上げていきましょう。

次回は『春の真ん中の養生』についてお話ししたいと思います。

国際中医薬膳師 田中 奈津子